2010年8月4日 奈良新聞
「采女(うねめ)の袖吹きかへす明日香風 都を遠みいたづらに吹く」(志貴皇子)。采女とは古代、諸国から献上された天皇に近侍する女性。
中秋の名月に奈良市で行われる采女祭は、帝の寵愛(ちょうあい)が薄れたのを嘆き猿沢池に身を投じた采女をしのぶというのが大方の奈良市民の理解。
これが姉妹都市・郡山市(福島県)の「采女伝説」では、ちょっと複雑だ。安積の里(現郡山市)は冷害で年貢を納められなかった。だが都から来た巡察使の葛城王はこれを許さぬ。
人々は王をもてなす宴を張ったが、王の機嫌は直らない。そこで出てきたヒロイン「春姫」は機転の利いた歌を詠み王を喜ばせ、采女として採用される。
都で帝の寵愛を受ける春姫だが、じつは許婚者がいた。名月の夜、池の柳に衣を掛け入水と見せかけて古里へ帰る。だが失意の許婚者は既に死んでいた。後を追って姫も井戸に身を投げる。
そんな物語の残る姉妹都市に、奈良市の仲川元庸市長が6日の「平和の鐘」を欠席して参加する。65年目の原爆の日。巡察使の姿でパレードもする、お気楽2泊3日の旅。(コ)
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