真剣な対話求める - 編集委員 水村 勤
2010年5月28日 奈良新聞
県内39市町村の中でも財政悪化が厳しい御所市で、財政健全化計画の取り組みが始まっている。自治体財政健全化法にいう「早期健全化団体」という不名誉な状況を想定していた東川裕市長は、市民を対象としたタウンミーティーングを繰り返し行い、財政健全化の施策のスピードを加速させようとしている。
改革の最も大きな点は支出の削減だ。職員数の削減と給与カット、保育所などの統廃合、隣保館・児童館の廃止などが並ぶ。どれも、市民にとっても、職員にとっても痛みが走る内容だ。タウンミーティングでも毎回、施策への反対や懸念する意見が噴き出す。それでも、早急な取り組みに着手しなければ財政健全化の道筋が見えてこない。
東川市長は任期中、月々の報酬を20%カット、退職金は全額カットし自らの身を削って財政健全化を実行する決意を示した。支出を削るだけではない。滞納の市税の徴収方法を変えた。未納者への訪問をやめ、警告し期限になれば差し押さえる方式をとった。反発もあったが結果、平成21年度の徴収率は前年を上回り、改革への端緒をつかんだようだ。
今回のタウンミーティングでは、東川市長は市民の質問にはほとんど1人で応対する。毎回出席する常連市民もいて、質問は専門的になったり、職員の対応についての苦情などさまざま。「いつも市民の目線で生の声を真剣に聞くようにしている。市役所に来る手紙やメールはすべて私が目を通し、私がすべきものは私が返事を行い、担当課へ届けている」と語り、市民の声を聞き市政に生かそうとする姿勢を実感させた。
しかし、傷は深い。公表の外部監査報告書によると、特に昭和44年度から平成5年度の財政分析で地方債が年率460%というスピードで増加、同和対策事業や各種建設事業の財源に使われた。平成5年度がピークで普通建設事業費は112億円、一方で20年度は7億円であるから、その異常さがうかがえる。
昭和44年度から平成13度までに使われた同和対策の総事業費は1000億円前後。元来、自主財源が弱いにもかかわらず、各種の公共事業がめじろ押しとなった。起債は急増し累積赤字となって市政を苦しめる。
今回、「廃止・見直しを行うべき」と指摘を受けている隣保館事業、児童館事業の主な対象となる解放センターが所在する7地区で人口減が目立つ。隣保館施設の利用のばらつきも大きい。たとえば図書室の利用が年間200~300回の施設がある一方、年間ゼロのところも。無駄になる財政支出の拡大を強いた、真の原因追究が求められる。
さて、市民に身をさらす東川市長は「私がいい加減なことを言ったら、タウンミーティングは力を失う。市民と同じ目線に立つ。その心構えが私を律する」と語った。
不動産仲介手数料をせびり県会副議長を辞任した田尻県議や、夫人の死亡を巡るDV疑惑で沈黙の中村哲治参院議員に聞かせたい。
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