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説明責任を果たせ - 主筆 甘利 治夫

2010年5月14日 奈良新聞

 鳩山内閣の支持率が急降下し、各社の世論調査でも軒並み20%台に落ち込んだ。

 その主たる要因は、鳩山首相の指導力と「政治とカネ」の問題だ。その「政治とカネ」に関して、小沢幹事長とともに民主党のナンバー1と2の2人が、国民から説明責任を果たしていないと見られているのが大きい。

 検察が小沢幹事長を嫌疑不十分であるとして不起訴処分にしたが、検察審査会は「起訴相当」と議決した。これを受けて東京地検は小沢幹事長に事情聴取を要請。小沢幹事長も要請に応えるとし、衆院の政治倫理審査会(政倫審)でも事実関係を説明する方向という。予算委員会での証人喚問より「まし」との判断かもしれない。

 そこに見えてくるのは、国民の目には「逃げている」としか映らない。野党時代の民主党は、政治家の疑惑を厳しく追求してきた。政権党になったら、あいまいな態度や言い繕うばかりで、説明責任を果たそうとする姿勢がみられない。

 上層部がそうなら、それに連なる議員も同じなのか。

 奈良県においても、この1カ月ばかりの間に、県選出の中村哲治参院議員(法務大臣政務官)のDV(ドメスティック・バイオレンス=夫による暴力)問題、県連元幹事長で県会副議長だった田尻匠県議の宅建業法違反などの問題が発覚した。

 4年前の平成18年4月に、中村氏の妻・瑞恵さん(当時35歳)が自殺。その最大の要因が、遺族や故人の友人にあてたメールや証言によって、中村氏による度重なるDVだったことが分かり、各方面に大きな反響と批判の声が挙がった。衆院選での落選直後から、その責任を瑞恵さんに転嫁する言動で執拗(しつよう)に責めるなど、異常な状態が続いた。その瑞恵さんは、法科大学院に入学したばかりの5日目に、自らの生命を断っている。遺族は「いまだに謝罪もない。許せない」と中村氏への怒りを隠さない。これについて中村氏は、秘書を通じて「コメントは差し控えたい」とするのみだ。法務政務官の中村氏は、DV防止法の中身はよく承知しているはずだ。単なる「個人的」問題ではない。釈明すべき責任がある。

 一方の田尻氏の問題は、宅建免許も持っていないのに、大手ハウスメーカーに約70万円の紹介手数料を要求し、巧妙な手口で支援者の宅建業者を欺いて請求させ、振り込まれた全額を受け取った。これについて一度は会見した田尻氏だが、「ハウスメーカーからの資金提供、贈与」などと弁明したため、ハウスメーカーと宅建業者の双方が「田尻氏が要求した手数料」であると全面否定、虚偽の会見が明らかになった。こうして副議長や党県連の要職辞任に至っている。

 ところが、その後の会見を本人欠席で県連幹部などに任せてしまい、あいまいさを残したまま、雲隠れの状態が続いている。きょう14日には、県議会が開かれ、田尻氏の副議長辞任に伴う、選任が行われる。議会もこの問題を等閑視すべきではないだろう。まずは、田尻氏自身が、県民に説明責任を果たすべきだ。

 中村参院議員も田尻県議も、公人中の公人だ。

 違法行為はけっして許されないのは当然だが、その前に「選良」と呼ばれる政治家であるなら、高潔な人格であることが求められる。県民に、きちんと説明責任を果たすべきだ。いつまでも逃げられるはずがない。

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