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大極殿彩る余白の美 - 四神、十二支の壁画描く【日本画家・上村淳之さん】

2010年4月23日 奈良新聞

十二支の壁画を仕上げる上村淳之さん=同

 約10年の歳月をかけてよみがえった平城宮第一次大極殿の完成記念式典が、きょう23日、奈良市の平城宮跡で行われる。殿内の小壁には四方を守る四神や十二支の壁画が巡る。日本画壇の重鎮、上村淳之さん(77)=奈良市在住=が心血を注いで完成させた。淡い色彩と「余白の美」が、訪れた人々を包み込む。

 「風や音や温度―。自然の中にいるような感覚を通じてトラという存在をかもし出す。描かれた空間をともに体感しようと誘い込むのが絵画です」

 第一次大極殿の小壁(縦1.4メートル、横2.3メートル)は36面。白虎、青竜、玄武、朱雀の四神を各1対、十二支は南北に6体ずつ。他の面には飛雲を配した。

 制作は昨年10月から現地で始まった。「白虎と青竜の世界はイメージが違う。自身の中にあるものを引き出すには一つずつ仕上げる必要があった」と振り返る。

 親交のあった故河合隼雄・文化庁長官(当時)から依頼を受けて制作を決断。高松塚古墳やキトラ古墳のような四神は描かないとはっきり伝えた。「中国と日本は感覚が違うし、参考にするとそこから抜け出すのは大変難しい」

 季節は移り、冷え込みの厳しい真冬の大極殿でも描き続けた。気温が下がると顔料を固着させるニカワがゼリー状に。いったん溶かさないと使えない。足場の上で垂直の壁に向かうため、腰の痛みも激しかった。

 自宅で多数の鳥を育て、花鳥画の第1人者として知られる。それでも、壁画を手がけるのは初めてだった。羽ばたく朱雀から始めてイメージを膨らませていった。

 「日本画は表情を持たない真っ白な空間に表情を持たせる。余白の意味を感じ取ってもらえたらうれしい」と話す。

 小壁1面1面に余白があり、そこから流れる風や音が絵を包み込むよう。殿内を彩る壁画を前に「もっとその空間にいたいと思ってもらえるなら、作家冥利に尽きますね」と話した。

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