仲川市長、疑惑隠し - 産廃処理費問題【奈良市】
2010年3月12日 奈良新聞
JR奈良駅前のホテル建設失敗による事業用地の産業廃棄物(石炭ガラ)処理費をめぐって、奈良市議会の3月定例議会に1億6500万円もの巨額な補正予算を計上し、疑惑隠しに加担する形になった仲川元庸市長への批判の声が高まっている。議会開会中の11日も一般質問が行われたが、仲川市長からは問題の核心に関する答弁はなかった。「行政のムダを徹底的に洗い出す」として当選した仲川市長が、前市長が出馬断念に追い込まれたほど疑惑に満ちたこの問題に、ためらいをみせる理由は何か、議会関係者や市民からも疑問の声が上がっている。
議会初日の5日には、仲川市長は提出議案の説明で、業者(JR奈良駅前ホテル開発=米田稔社長)に対して「処理費用の明細がないため、その提出を求めた」が、提出がないことから、わざわざ市が算出して「1億6500万円」もの巨額な補償金を予算措置したと説明。
また質問の答弁でも「遅延利息の発生が懸念される」などとし、「土地の活用を早く進めたい」と、疑惑を封印しようとする姿勢を前面に出している。
仲川市長は、藤原昭前市長が不出馬となった昨年夏の市長選で、「3大ゼロ宣言」をマニフェストに掲げ、初当選した。しかし10日の代表質問でも明らかにされたように、「37億円の無駄を省いて政策予算を生み出す」としたものが、14億円(38%)しか生み出せなかったと答え、公約不履行を認めた。
それだけにホテル建設の経緯は、行政の無駄の象徴。当初建設を予定していた会社が破たんしたことで、わずか1000万円の資本金で「駅前ホテル開発」会社が設立され、同社は石炭ガラ埋設の事実を承知しながら2億円も安く土地を買い、ホテル建設に乗り出した。本来なら、奈良市が2億円安く買い戻せたはずだが、この売却の経緯も不透明さを残したままだ。これには同社の実質オーナーや藤原前市長、そして国会議員らの名前が出るなど、複雑な経緯、人間関係が浮き彫りになっている。
そこで、「2億円も安く土地を手に入れた」業者と藤原前市長との間で、新たに「補償費」問題が出て不自然な契約が明るみとなり、結局、藤原氏の次期市長選への出馬断念となっていった。
こうした経緯を経ての市長選で当選した仲川市長だ。
仲川市長は業者に必要な書類の提出を求めたが、肝心の処理費用の明細が出されなかった。業者は産廃処理免許を持っていないため、実際に処理したとしている産廃業者からの正式な請求書や、どこへどのように投棄し、投棄分量はどうなのかなどの証明があって初めて、補償費の算定が可能。「書類を出せない理由があるとしか思えない」と議会関係者は話している。
また「遅延利息が生じる」とした答弁も、業者側の言い分を仲川市長が代弁したものだ。こうした問題に詳しい複数の弁護士によると、「業者側に請求権はあるとしても、支払いの履行期ではなく、証明がない限り遅延利息は発生しない」としている。
問題を早く始末しようとする仲川市長の政治姿勢は、「行政のムダ」を徹底的に洗い出すとする公約と逆行しており、市長の登場で疑惑の解明を期待していた市民からも疑問の声が上がっている。
業者と密接な関係にあった前市長や国会議員筋からの圧力なども指摘され、この問題に対する仲川市長の隠ぺい姿勢が浮き彫りに。「市長自身が同問題の経緯を解明しようとすれば、こんな補正予算は出ないはずだ」と、支持してきた市民は失望の色を隠さない。
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