2010年3月6日 奈良新聞
桜井市の5歳児、吉田智樹ちゃんは市職員に発見された時、1人では起き上がれないほどにやせ細っていた。対面した市職員は絶句した。衰弱が激しく、その数時間後、短い一生を閉じた。
5歳児の平均体重は20キロぐらい。智樹ちゃんはその3分の1にも満たない6キロほどしかなく、関節が浮き出るほどやせていたという。
死因は栄養失調症となったが、餓死だ。狭いアパートの一室で親子4人が暮らしていた。智樹ちゃんは死を迎えるまでの日々をどのように過ごしていたのだろうか。想像を超える。
智樹ちゃんの両親も、最初から悲劇をもたらす鬼のような存在ではなかったと思う。しかし、捜査の進展によって、居たたまれないような事実が徐々に明らかになってくるのだろう。
県議会で荒井知事は、怒りに満ちた表情で事件の検証を約束した。しかし、智樹ちゃんの“悲しい死”という事実によってしか、人間は想像力を発揮できないのか。
市町村の健康診断を無視する乳幼児のいる家庭への訪問が検討されるようだが、むなしい。それでも幼い子の命は地域社会が守らなければいけない。(水)
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