2010年3月4日 奈良新聞
日中の気温は15度近くも上がり、梅の花も一斉に開いた様子だったが、深夜の堂内で日付も変わるころになると、さすがに冷え込む。
「ナアームカアン」と長く伸ばした声明の語尾が「ナムカン、ナムカン」とピッチが早くなってくると、思わず眠気も覚めて、ひそかに忍ばせたカイロを握り締めた。
修二会本行2日目は、走りやダッタンといった「見せ場」が少ないこともあってか、二月堂内の参拝客は少なかった。その分、ゆったりと行法を聴聞できたのはありがたい。
同じ時刻、福井の小浜市ではお水送りの行事が行われていた。10日間かけて「若狭井」にたどり着くというのが不思議だが、お水取りのスケールの大きさを示すひとこまだろう。
手前みそで恐縮だが、今駒清則さんの写真集「南無観―東大寺お水取りの光陰」(奈良新聞社刊)は、昭和30年代後半から50年代中ごろの修二会の様子が詳しい。
長老方が練行衆だったころの若き姿も懐かしいが、スター選手だけでなく、行法に携わり共に参籠(さんろう)する世話役の姿にも引かれる。白と黒の写真が豊かに織り成す世界だ。(コ)
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