2010年2月22日 奈良新聞
模倣することを軽蔑(けいべつ)し、独創性にこだわったのが安堵町出身の陶芸家・富本憲吉。県立美術館で開かれている憲吉の館蔵展をのぞいた。
後半生の秀作、金銀彩の「蓋付飾壷」は美を追求するというすごみがあるが、スベリヒユを描いた大皿(昭和13年)は何度見ても素晴らしい。雑草を“主役”に生き生きと描き、作品としての充実感と親しみやすさがある。
さて安堵町の富本憲吉美術館の“目玉”は「富本夫妻合作陶器絵巻」。長さ10メートルの巻き紙に30点の陶器が水墨で描かれている。名の通り、憲吉と一枝夫人が2人で仲良く描いたものだ。
長年、憲吉を研究している山本茂雄館長によると、一枝夫人の書簡に「原図は私致し候へども、象眼加工は憲」とあり、2人一体の陶器が相当数あったようだ。
山本さんは「1916(大正5)年から少なくとも3年間の作品は大半が夫婦合作なのでは」と推論を膨らませる。
憲吉は、自然の花や風景などを自分で見て、独自の模様を考えて作陶に取り入れたことに違いないが、一時期にせよ「夫婦合作」は憲吉の陶芸論に明るさを増す。(水)
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