2010年2月19日 奈良新聞
服装などを問題視された五輪スノーボードの国母和宏選手がメダルの実力を示し、どうだと大見得を切るところを見たかったが及ばなかった。
親せきではないが姓の音読みが同じなので、話題になるたび気になった若者。昨日、各紙の見出しは「雪辱の決勝へ」と相応の期待をにじませていた。
8位という結果に「だから言わんこっちゃない」と追い打ちをかける向きもあろう。だらしない(と映る)服装から受ける雰囲気は、確かにスポーツマンらしくなかった。
それでもメダルの1枚でも取っておれば世間は受け入れたはずだ。勝負事は「勝てば官軍」。朝青龍でも強さで批判を封じてきた。上には上がある。技術や体力に加えて精神力も。
中島敦の短編「名人伝」に、天下第一の弓の名手になろうと志した紀昌という男が登場する。すさまじい修練を積み、ついに師を超え弓矢なしで飛ぶ鳥を落とす境地に達する。
晩年は弓と矢の用途を忘れ「既に、我と彼との別、是と非との分を知らぬ」までになった。髪形や異装を超えた境地に至るまでに、弱冠21歳の若者にはあり余る時間がある。(コ)
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