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金曜時評

説明責任は免れぬ - 論説委員 小久保 忠弘

 昨年、期待を担って発足した民主党連立政権だが、トップの首相、実権を握る幹事長の2人がカネにまつわる不明朗な問題を追及されているのはゆゆしいことだ。鳩山由紀夫首相は母親から多額の政治資金を得ていながら報告しなかった偽装献金問題が発覚し、小沢一郎幹事長は元秘書の政治資金規正法違反容疑で事務所が捜索された。東京地検の事情聴取要請にも応じていない。

「自民党だったら即死だ」と田野瀬良太郎党総務会長が憤慨するように、「政治とカネ」の問題は与党時代の自民党を野党が攻撃する材料であった。攻守ところを代え、同じ問題が浮上している。これでは政権交代に込めた国民の期待を裏切る。日本の政治の根幹は何も変わっていないとも言えよう。

 「法に触れることをしたのであれば問題だが、説明さえきちんとすれば国民は納得してくれる」と語った民主党県関係国会議員がいた。だが小沢幹事長は疑惑の数々に一切答えていない。記者会見では、すごみを効かせた恫喝(どうかつ)まがいの態度で臨み、質問をはぐらかした揚げ句、「捜査中なのでお答えできない」と逃げる。一方で仲間内の会合では「迷惑を掛けた」とわびる。こんな旧来の政治手法で乗り切れると考えているのか、まったく誠意が伝わらない人物だ。

 民主党が選挙で勝つためだけに「小沢流」を活用したのだとしたら、邪道と言えよう。国民は小沢氏の政治手法まで含めて1票を投じたわけではない。議会制民主主義は「数がものを言う」のは事実だが、数のためには手段を選ばずカネの力を見せつけるのはいかがなものか。その資金が公共工事との関係で疑惑の指摘される企業から得ていたとなれば問題化するのは当然だ。

 党首といい幹事長といい、それぞれ億を超える金額が不明朗に飛び交う党である。国民の「生活第一」を唱えて政権を奪取した割には庶民の金銭感覚とはほど遠い。本当に「政治家として何らやましいことはない」と言う以上、捜査に協力し自ら潔白を証明すべきではないか。

 そんな中で、17日に生駒市長選が告示される。ことし初めての首長選であり、奈良、橿原に次ぐ県内第3位の人口を持つ有力都市の市長選びだ。昨年民主党に吹いた風が生駒市ではどのような方向に向くのか、4年前に清新な山下真氏を選んだ生駒市民が今度はどんな判断を下すのか注目される。

 自民、公明、社民、新党日本の推薦を受け4選を目指した対立候補に、ほぼダブルスコアの大差をつけて圧勝した山下氏は、「市職員の意識改革を図り、専門家の力を借り市民の声を聞いて公約を実行したい」と語り、「関西一魅力的な住宅都市」をスローガンに掲げた。その結果がどうだったのかが問われる。政権党の民主党支部は諸事情を理由に旗色を明らかにせず「中立」だという。これも無責任な話だ。政党の姿勢が問われよう。

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