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慎重に薬剤試験 あふれる緊張感 - 高松塚古墳

2009年12月1日 奈良新聞

8ミリフィルムに収録されていた、モーラさんが筆で天井漆喰(しっくい)に樹脂を塗布する場面(文化庁提供)

 明日香村平田の高松塚古墳(7世紀末~8世紀初め)で、極彩色壁画が発見された翌年の昭和48年に石室内などを撮影した8ミリフィルムが奈良文化財研究所で見つかった。イタリアの専門家を招いた保存対策調査など、懸命に“飛鳥美人”を守ろうとした当時の人々の動く記録が関係者の胸にふたたび興奮をよみがえらせている。

 今年2月、橿原市木之本町の同研究所都城発掘調査部で、機材庫内を整理していた写真室専門職員が棚の上の紙袋に気づき、開封した。中身は8ミリフィルム21巻。1巻ずつ納められた箱に「タカマツ」などと鉛筆書きされていた。

 全体のうち14巻が高松塚古墳関係で、残りは川原寺や藤原宮、紀寺、大官大寺など。当時、奈良国立文化財研究所(現・奈文研)の主査だった猪熊兼勝・京都橘大学名誉教授が、個人的に興味があった8ミリで業務の補助的に撮影したという。猪熊さんは「まさか今になってフィルムが見つかるとは。皆がカビの発生を気遣ったことや、地元の人が古墳の番を10年続けてくれたことなど、いろいろな思い出がよみがえる」と話した。

 高松塚関連は計約31分間。音声はなかった。昭和48年10月6~18日の保存対策調査が約18分間。石室壁面の凹凸などは鮮明。イタリア国立中央修復研究所の修復技術者パオロ・モーラ、ラウラ・モーラ夫妻が、筆の先で飛鳥美人の汚れを落としたり、修復の薬剤試験を行う場面は当時の緊張感を赤裸々に伝える。佐藤栄作・前首相ら政府要人や日本画家の前田青邨さんらの視察来訪なども収められていた。

 文化庁は8ミリフィルムをDVD化。今後の壁画保存と活用に生かす方法を検討する。

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