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金曜時評

どこへ行く自民党 - 主筆 甘利 治夫

 民主党の大勝を受けて、社民党と国民新党との連立政権が16日に発足する。

 政権交代を果たした鳩山新内閣の骨格が、徐々に明らかになっている。まず党幹事長に小沢一郎氏を起用し、内閣は副総理に菅直人氏、外相に岡田克也氏、財務相に藤井裕久氏といった布陣に、社民党党首の福島瑞穂氏と国民新党代表の亀井静香氏の入閣が決まるなど、その重厚な顔ぶれには期待感が高まっており、これでは自民党も形無しだ。このほかにも論客が多数いることから、組閣が待たれる。

 それだけに惨敗した自民党の右往左往ぶりは目に余るし、本当に立ち直れるのか危惧(きぐ)している。

 新政権の顔ぶれと比較すれば分かる。森喜朗、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎の各氏ら首相経験者はいるが、それぞれの退陣の経緯をみれば、重厚さどころか軽く見え、何とも寂しい限りだ。たしかに派閥への批判はある。しかし、その派閥が拮抗(きっこう)することで力を発揮してきたのが自民党だ。今やその派閥の領袖であっても総裁(首相)候補ではなくなっている。今度の「鳩山新政権」に対抗した内閣をつくるとしたら、どんな顔ぶれになるかと思うと、想像もできない。党三役や大臣経験の重量級の人たちがいるにもかかわらず、党の顔である総裁さえも決められない現状では、お寒い限りだ。それが今の自民党の姿でもある。

 1年前の9月1日、福田首相の突然の辞意表明。そして24日に麻生首相が誕生している。わずか1年前のことだ。今ごろになって、「就任直後に解散しておけば、これほど負けなかった」などと言っている。麻生首相の一言一句、一挙一動が、惨敗の原因となり、3分の2近い180人もの前職を落選させた。党の崩壊といってもよいほどの取り返しのつかない結果となった。敗れた人たちは本人の責任もあろうが、麻生首相に翻弄(ほんろう)された人がほとんどだ。それだけに麻生首相の責任は大きく、単なる総裁辞任で済む内容ではない。

 1年前に解散、総選挙だったら、こんな結果になっていないし、1年で民意がこれほど変わるのだということを示した。逆に1年あれば変わるともいえる。

 中央のドタバタもさることながら、地方の自民党も再建できるのかどうか。

 県選挙区においては、全敗を免れたとはいえ、県連会長の田野瀬良太郎氏は4区で民主新人の大西孝典氏に辛勝し、何とか面目を保った。

 総選挙では大敗したが、地方議会においては圧倒的に保守系議員が多い。選挙結果を分析しながら、速やかに体制づくりに取り組むべきだ。民主党は来年の参院選で、単独過半数を目指している。その時に、社民党、国民新党との連立がどうなっているのか分からないが、民主党は単独政権に向けて、この勢いを加速させるだろう。

 自民党にとっても、それほど時間はない。とくに県議会において分裂したままであることは致命的だ。来年の参院選の前に、議長選もある。自民党が復活できるかは、中央だけでなく、身近なところにある。

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