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指導者の決意示せ - 編集委員 水村 勤

2009年8月14日 奈良新聞

 衆院総選挙は、18日の公示を前に事実上激しい前哨戦の展開となっている。中央でも地方でも各主要政党を集めたマニフェスト論争によって、年金や教育・福祉など、いくつかの政治的課題について政党間の主張の違いが明らかになってきた。その点については率直に喜びたい。

しかし、である。先の国会までの与野党の対立は、国民に期待を抱かせるような場面が一つでもあったのだろうか。立候補を予定する政治指導者は振り返ってもらいたい。新テロ対策特別措置法案や第二次補正予算関連法案については参院が否決しても、衆院が「3分の2条項」により再可決した。そこには国会論議を収斂(しゅうれん)して国民合意をつくる余地もなかった。

 今度の選挙で仮に政権交代や政界再編が起こった時、対立を超えて国民合意をつくっていくような政治の成熟した場面が見られるのか、はなはだ心もとない気持ちになる。

 年金や医療の不安が深まる中、未婚者の増加、晩婚化の一方で出生率の伸び悩みは、将来への生活設計が見えない限り改善は難しい。所得格差と子供の進学の関係がクローズアップされている。各党が教育費について手当の創設や増額、無償化などを掲げているのは時宜を得ているが、選挙後は果たして与野党が対立点を乗り越えて現状より大きな前進を図る努力をするのだろうか。

 不毛の対立と、言い放しの主張だけが残ることが、有権者に政治への失望を深くしている。指導者であるならば自覚してもらいたい。「党議」がすべてではない。苦しむ国民の姿を背中で感じ、何としても一つ一つの課題を前進させる気概を持ってもらいたい。

 ところで、本県の発展を阻害しているのは圧倒的に経済分野の指導者が不足していることである。荒井県政になり企業誘致に努力しているが、全事業所数の減少に歯止めがかからない。国の経済活性化策の恩恵に浴することも難しい。事業所が減るのなら、事業家を増やすことに力点を置くべきである。

 例えばである。本県でも趣味や特技からコミュニティービジネスを始めたり、準備中の人も多い。1人1人の事業は小さなものだが、中には奈良の風土に合い可能性のある魅力的な営みもある。コミュニティービジネスを育成する取り組みは、県が中小企業支援センターを通じて行っているが、実際に指導できるコーディネーターは少ない。

 中心市街地の活性化とコミュニティービジネスの連携が進んで、魅力のある商品と商売人が商店街にあふれれば、回遊する人々も増えてくる。地域を心から愛し、専門知識だけでなく行政にも精通し、バラバラの事業と人をつなぎ合わせる気概を持った指導者が増えれば、本県はじわじわと良くなっていく。その中から、地域の将来を託すことができる指導力のある政治家が出てきてもいい。

 こんな希望が抱ける政治家としての決意を語ってほしい。

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