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仲川新市長に期待 - 主筆 甘利 治夫

2009年7月31日 奈良新聞

 県都・奈良市に33歳の若き市長が就任する。

 先の市長選で当選した仲川元庸氏が、きょう初登庁だ。当選から約3週間、選挙中に市民と約束したマニフェストを実行するために、その準備を進めてきたに違いない。いわゆる民主旋風と若さによって全国の注目を集めただけに、闘志をみなぎらせていることと思う。

 仲川新市長には、市民が下した今度の審判の意味をよく知ってほしい。

 元市長の鍵田忠兵衛氏が4年前、いわゆる税金未納問題で不信任決議され、議会を解散し、選挙で敗れた。たまたま郵政選挙で刺客候補で立ったが、これにも敗れ比例で復活当選した。そして衆院の議席を放り出して、市長への復活を狙った鍵田氏が、自民、公明両党の推薦を得て、数の上で有利とされながら市民は復活を望まず、2度目の「ノー」の判定を下し、無名の新人・仲川氏が勝った。

 仲川氏の当選は、全国的な民主旋風であることは明らかで、そこに若さに対する期待と、鍵田市政の復活を望まぬ声が結集した。県人口の4分の1を占める県都・奈良市の首長の重さを、今になってひしひしと感じているのではないか。

 おそらく耳に届いていると思うが、「行政のことが分かっていない」「若すぎる」といった不安の声が日増しに大きくなっている。職員だけでなく、支持した有力者のなかからも聞こえてくる。とくに「ゼロ宣言」を声を大にしてきただけに、継続してきた行政への不安感がある。これにどう答えるか。

 また出馬会見で、「個別の政党・政治家から出馬依頼は受けていない」「政党色を出さないでいく」としていた。しかし、実態は民主党“公認”ともいえる、鳩山由紀夫代表、岡田克也幹事長が応援に駆けつけ、まさに民主党の選挙戦だった。だから全国でも注目された。出馬の経緯を含めても政党色は明確だ。

 そして「官僚主導」「しがらみ・利権政治」との批判は、官僚出身である藤原昭前市長への批判であり、藤原市政が利権政治であると訴えたに等しい。その藤原前市長との面談で「しっかり引き継ぎたい」とした。藤原氏が出馬を断念したJR奈良駅前ホテル問題の経緯は承知しているはずだが、「しがらみ・利権政治」を糾弾したのだから、疑惑をそのまま放置することのないようすべきだ。

 今度の市議選で民主党は躍進し7議席を占めたが、議員39人のなかでは少数与党となる。選挙中に「議会主導」と議会批判もしていたが、市長と議会は車の両輪だ。何をもってこれまでの議会のあり方を議会主導と批判したのか。議会の理解・協力なくして行政が前に進むことはない。仲川市政は、まるで5年前の鍵田市政のスタート時に似ており、その後、どんな経過をたどったかはご承知の通りだ。

 当初は、若さと民主旋風で話題性もあろうが、市民生活の停滞はいささかも許してはなるまい。目立つこと、パフォーマンスよりも日々の暮らしに、どう向き合うか。そこを見ていきたい。

 老婆心ながら、選挙で使った「げん」の名前を使用したい意向と聞くが、タレントではあるまいし、仲間うちの愛称を公の機関で使うのには違和感を覚える。

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